キスの甘さ 6題


■ キ 軋む音がする(セルギス)
■ ス 裾を掴んでた(擬人化ティガレックス)
■ の 残らずあげる(影丸)
■ あ 新たな陶酔(擬人化ヒゲツ)
■ ま 睫毛が濡れて(擬人化イビルジョー)
■ さ 醒めない夢 (擬人化ナルガクルガ)






■ キ 軋む音がする(セルギス)


吐き出した息は、セルギス自身でも自覚するほどに震えて熱が滲んでいた。
情けなさも同時に過ぎったが、今更冷静ぶるのも土台無理な話である。ユクモ村伝統の織物で仕立てた寝台の敷布に、セルギスの手のひらが重なり、握りしめられる。ついた膝も必死に動きを止めようと、微かに揺れた。
はあ、と今一度吐息をこぼす事で堪える。衣服の落ちた剥き出しの背に、汗がじっとりと伝い落ちる。下半身に触れる、或いは包む柔い感触。ぞわぞわと込み上げる戦慄きが、セルギスの僅かながらの理性に揺さぶりを掛けてきた。

頼むから、まだ。
彼女を気遣っていられる、《年上の男》であってくれよ。

などと云う事を自身に言い聞かせ、視線を下げる。細めた視界に、白い裸体が映った。セルギスの真下で、仰向けになり肌を晒す女の肉体。頼りない角灯なんか、いっそ無ければ良かったかもしれない。
敷布に波を刻みつけながら、身動ぎし、けれど耐えようと背と喉を反らす仰向けの無防備な肌。細い太いと評価を付けるつもりはないが、男の、それも並の運動量をこなしていないハンターと比べれば、格段に頼りない身体つき。柔らかい肉付きで均整が取れたそれは、かつて彼が夢に見て、想像の中で触れたものよりずうっと美しかった。

「……

目眩がし、声が掠れた。性を覚えたばかりの青ガキか何かか、とセルギスでも笑えた。
静かにセルギスの影の落ちる、その真下で、開かれ震えていた足が跳ねる。白く柔い太股が、セルギスの引き締まった腰をゆっくり時間を掛けて挟んだ。何を訴えてかは定かでないが、少なくともその感触だけで声が漏れる自分よりは浅ましくないだろう。
敷布へついた手のひらを持ち上げる。ぎこちなく、噛みしめるの唇を指先で撫で頬に重ねると、閉じていた彼女の瞼がほんの少しだけ持ち上がる。

「セル、ギス、さ……ッ」

仰向けの腹が、数回跳ねる。天を向く丸い胸が、その振動で震えるのを見た。
開かれた足の間、セルギスを必死に受け入れようと耐えるは、未だ雄を迎え入れる事に慣れていない。前戯により其処は蕩けても、いざ踏み入れられるとやはり息が詰まるようで、苦悶の表情には苦さが浮かんでいる。
それを無理矢理に進めて一方的な快楽の搾取をするような真似を、セルギスがするわけがないけれど。
気遣っていながら、その大部分では己の欲望が疼いて仕方ない。大概、雄であると彼もよく知っている。現に意識して抑えていなければ、無理を強いて責め立てる。
の頬を何度も撫で、耳の後ろを指先で掠める。

「ん……ッふ……」

だから頼むから、そういう声はあんまり出さないでくれ。

脳裏で火山が爆発しそうになりながら、セルギスは耐えきる。
と、敷布を懸命に掴んでいたの手が、ふわりと緩まり。代わりに、彼女の目の前にあっただろうセルギスの胸へ置かれた。力なく、むしろ蠱惑的な動きで、指先を曲げ引っかく。
渓流で見た桜色アイルーの動きだって、此処まで色めいてはいなかった。
く、と息を飲んで、眉を顰める。立てた腕が曲がり、必然的に上半身が降りてに覆い被さった。小さい女の手のひらの他に、遮る物無く彼女の胸が柔く潰れて触れた。
距離が無くなった分、重みが加わって沈めた剛直がさらに奥へ沈んだが、から漏れた声は微かな笑みが含まれていたような気がした。

「私……ッあ、平気、ですよ……」
「ッ無理するな、まだ、少しは……」

待っていられる、と言おうとしたが、下敷きにしたはセルギスの顎に唇を当てた。
ぞわ、と首筋が震え上がった。

「ん、本当……大丈夫です……いつも、セルギスには良くして貰ってるから……」

の腕が、肩に回る。細く、全然力など入っていない。だと云うのに、不思議とセルギスの動きを全て絡め取るようでもあった。
首筋の震えが、全身に巡る。それは呆気なく、セルギスが必死に繋ぎ止めていた理性を放ってしまう。
欲望が、逆転して勝った瞬間である。
彼女を気遣おうとした腕は、するりと背を包み、片足を抱えていた。

「私、どんな事されても……嫌いになんて、なりませんから」

ジンオウガの時も、人間の今も。
暗にそう告げるに、セルギスは噛みつくが如く唇を押しつけ、吐息や舌を全て求める。強く抱きしめたまま、理性の枷を外した肉体で彼女を揺らして快楽を追いかける。
は頼りなく声をこぼし、しがみついてきた。
軋むほどに悦んでいるのは、寝台か、心臓か、定かでないが、自分の熱に拒まず染まる彼女が居ると云う事は……自惚れて良いかもしれない。

の濡れた声は、耳元で何度も名を呼んでくれた。



▲モドル






■ ス 裾を掴んでた(擬人化ティガレックス)


妙に実感がわかないと云おうか。
変に現実味が無いと云おうか。
握っては緩め、握っては緩めと繰り返す自らの手のひらは、五本の長い指が揃い軟弱さがあるように見えた。肉を切り裂く爪は、何処に行ったものか。人の姿となったティガレックスは、しげしげと見下ろす。
こんな手で人間は獲物を捕まえ、時に竜をも倒すというのだから、尚の事不思議だ。
そしてこんな手を持つ人間に負けたというのだから、この生き物にはある種の関心が抱かれる。

「まだ慣れない?」

隣に居たが、覗き込む。今までティガレックスが見ていた彼女はもっと小さかったが、身体の大きさがほぼ同じになったお陰で等倍に映った。自分の物とは思えない手を、の手に伸ばす。ぎゅむ、と掴んで持ち上げると、が吐息を漏らし笑った。

「ふふ、痛いよ」
「わ、悪い」
「……嘘、平気。……同じ声ね。凍土で聞いていた、あの声と」

は可笑しそうに言ったが、大きさが違う事に、内心では酷く狼狽えていた。雄と雌の差というものは、彼が轟竜という姿であった時など大したものは無かったと思う。身も蓋もないが、生殖器くらいじゃなかろうか……それでも判断は何故かついていたが。
その点、人間は、随所で差違がある。手の大きさも、背丈も、身体の太さも、腕や足の長さも。
握った指は細く、柔らかい。その感触は、確か自身の甲殻や鱗に覆われた肉体に触れたものと同じだ。

……不思議だな、本当。

あんなに見下ろして、小さい小さいと思っていたのに、この世のものとは思えない味がしたキノコ一つでこうも変わるとは。
ティガレックスはぎゅむぎゅむと強く握りしめていた力を緩め、の手のひらを取る。柔く、扱いに困るほど温かい感触が、肌色の違う自らの指先を包む。

「……レックス」

が困ったように笑う。それは凍土の中、目を凝らしてはよくよく見ていたあの顔つきだ。
ティガレックスという種族であったらしいかつての己は、彼女など容易く喰い千切り、引き裂いてしまう竜であった。それが今は、人間の姿。傷つける事なく、対等に、四肢を寄せ、交尾の真似事もする必要のない……――――。
急に全身に熱が帯びたのは、その瞬間だった。
掴むの手に、人間の雄の指が絡む。それが、人間が行動する通りの仕草であったかは知らない。むしろ、幼稚だろう。中身は、先日まで野に居た生き物なのだから。
彼女は驚いて僅かに引いたが、そうっと見上げて、視線を返す。俯き加減な瞳が、泳いだ。それを素直に、可愛いと、あの頃感じていた渇望感のまま思い、喉を鳴らす。

死を覚悟した極寒の地、命尽きる間際で見初めた雌。初めて出会った当初から何ら変わらず褪せず、それどころか増す一方で馬鹿みたいに追いかけ回した記憶は新しい。
小さな背中、逃げるたびに泳いだ髪、私は人間よと口酸っぱく言われても厭わず。

「……逃げんなよ、今度は」

ぐ、と小さな手を掴む。不意にこぼれた言葉を、はその耳でしかと聞いている。竜だから、人間だから、そう言っては線を引かれ、越える事も近づく事も叶わなかった。僅かな望みを貰う事も、出来なかった。


――――だが、今は。


「……アンタの言う、《人間》と同じ格好になった。今更、否定すんなよ。今度こそ、ちゃんと、俺を見ろ。
あいつらだけじゃなく、俺を、なあ」


――――あの頃焦がれていたものが、幾らでも、自由に。


募る想いに押し切られ、早口に告げる。と、その口先に、の指先が押し当て当てられた。まるで、何も言うな、と告げているような静かな仕草。

「……ティガレックスの姿なら、まだ聞き流せたけど。男の人の姿で言われると、心臓に悪いな」

の顔は、真っ赤だった。それを見たら、余計にティガレックスの方まで熱くなってきた。

「全部、言わなくたって……バレてるよ。レックス」

口先に押しつけた指先が、静かに降りる。その指は、腕を指し示した。竜の頃のように、赤い血管が浮き上がり、感情を明瞭に語っていた。
こういうところの癖は、両手の爪と一緒に消えてしまって欲しかった。となれば、に見えるこの目は、何色になっているやら。

「……うるせえ」

乱暴にその手を引っ張り、身体を掻き抱いた。初めてまともに抱きしめた、彼女の肉体のその柔らかさ、みっともなく呻いてしがみつくティガレックスを、はやはり困ったように笑っていて。小さな手で、背をポンポンと叩いてきた。

――――結局のところ、自分はを逃がさないよう躍起になっているらしい。
の服の裾を掴み、目の前の無防備な白い首筋に口を這わせていた。



▲モドル






■ の 残らずあげる(影丸)


開け放った小さな戸の向こうに広がっている、見慣れた温泉の村の景色は。
いやに色濃い闇が覆いかぶさり、不気味な陰影を感じさせた。

生暖かい風は強く、黙りこくった不穏な夜にビュウビュウと音をかき鳴らし散る。浮かび上がった木々と紅葉の葉の輪郭が、激しく揺れて散らされている。そしてその風は、村の民家へ遠慮なく吹き付けられていた。
ガタガタ、と激しく揺れ、閉じたり開いたりする忙しない小さな戸の様に、影丸は村に忍び寄る【脅威】を見た。寝室を満たす生温さ、草と露の匂い―――近いうちに訪れる、嵐の予兆。
村一つなど呆気なく壊滅させる、大規模な嵐の予兆を。

嵐の前の夜には、妙に気が逸るという。この影丸も例外ではない。ただ、今回のそれは田畑を荒らす程度のものではなかった。河が氾濫し、大地は飲み込まれ、暴雨と強風のもと等しく全て滅ぶだろうものだ。
恐怖と高揚が、入り混じってゆく。

――――嘆くべきか、喜ぶべきか

思考から排除しきれない嵐の気配に、影丸は呼気を漏らす。吹き込む生温い風に横顔を撫でられながら、寝台に縫い付けた女体へ燻る感情を口付けで降らした。
半ば強引に連れ込んで、まともな了承を得ず「抱かせろ」の一言のもと衣服を奪い取ったというのに。今にも消えそうな角灯の明かりに浮かび上がった女体は、色づいた白さと匂いが香っていて、影丸の手に対し戸惑う風は見受けられたが素直に甘受していた。
どことなく、普段と異なった様子。着物がはだけて現れている影丸の硬い胸に、重なった手はやけに細く頼りない。
……ろくな抵抗をしない彼女も、村に訪れている気配に何らかの予感をしているからだろうか。あるいは、滅びの覚悟。村か、己か、それとも――――戦いの前に気が静まらない、自分か。仰向けに寝台へ横たわった彼女は、ただ見上げている。その濡れた目に、彼女が抱いているであろう想いとはかけ離れた、情緒のない欲望が疼いた。


――――その昔、ユクモ村近郊に広がる渓流には、村があったという。人の暮らしていた村だ。
その名残は、渓流に打ち捨てられ荒廃した家屋の群集から見て取れる。其処には確かに、見る影もないが人が暮らしていた痕跡が確かに残っていた。
では、何故存在していた村が消えたのか。
現在にまで残る古い記述には、突如襲った嵐により一夜で飲み込まれたらしい。生き残った当時の人々は、呟きを漏らした。嵐の中に、龍を見た、と。

今になって昔話をギルドマネージャーが語ったのは、観測隊がとある異常気象を目撃したからであった。
嵐が近づいている。渓流の遠方――霊峰に、嵐が近づいている。その昔、村どころか周辺をも飲み込んだ、大規模な嵐が。

……影丸は、その話を聞いた時、何故か理解した。
ああ、つまり、ギルドマネージャーが云いたいのは、その嵐がユクモ村を飲み込もうとしている。そういう事なのだろう、と。

変に、頭が冷静であった。もしくは既に、一定の線を飛び越えて狂気の沙汰に陥ってるのかもしれないが。

「……分かった。俺がその【嵐】とやらを、止めに行こう」

別に誰かの為ではない、自分の為だ。
だが、これがハンターという職業の、人間の、嫌なところだ。

霊峰に座した、厄災の嵐――――名を、嵐龍アマツマガツチ。
その昔ユクモ地方で恐れられ、多くの村を飲み込んできたとされる古龍。
真っ先に思ったのは、親しい人々の顔と、ハンターの本能で。
影丸自身の安否は、全く考えていなかった。

……これ以上進めば、アマツマガツチはユクモ村を襲う。霊峰に留まっている今こそ、討ち果たす時だろう。

ギルドマネージャーと女村長の言葉に、影丸は多くは言わずに頷いた。そして明日、彼は霊峰に向かう。ユクモ地方で神と崇められ恐れられてきた、古い龍を討ちに。
だからこの晩は、やけに気が静まらないのだろう。嵐の気配に、まだ見ぬ龍の姿が過ぎる。そうすると、否応でも眼下に納めた女が存在を放った。
……そうも、なるのだろう。
他人事のようだが、一人で嵐龍に挑み、無事に帰って来れる確率はどれほどだ。
辛うじて戻ってきても、その肉体がまともに機能している確率はどれほどだ。
ほんの僅かもないと彼自身で自覚している今、触れた彼女の肉体は酷く名残惜しく、幾ら触れても恐怖が拭えない。

「……

名を呼び、腕を伸ばす。細い背中に腕を回し入れ、肩を掴み抱き上げる。
ぱさり、と後ろへ落ちた衣服を見ながら、影丸は胡座をかいてその上にを乗せた。生温い風に揺れる髪が、首筋で誘う。顔を埋め唇を這わせて匂いを吸うと、の両腕が背中を包んだ。
何だよお前、そんな殊勝な態度、した事あったか。

「……縁起、悪いよ」

耳元で聞こえた声は、か細く響いた。
明日、霊峰に出立する身だからこそか。今生の別れにするつもりはないが、そう思われても仕方ないだろうな。
ぴたり、と重なった互いの胸は、吸い付くように触れた。柔らかい、鼓動が伝う乳房。しかし明日自分の胸に重なるのは、龍の爪か、それとも牙か。思わず、笑った。

「だからこそ、だろうが。今抱いておかないと、入る気合いも入らなくなる」
「それがなおさら、縁起悪いよ」

ビュウ、ビュウ。鳴る風の音に、の声が響く。泣き出しそうな声だった。影丸が強く抱きしめると、も縋った。
どうせ行くなと言っても貴方は行くんでしょう、と日中珍しく取り乱して怒っていた姿を思い出す。今も許していないのだろうな、その細い腕が行くなと、死ぬなと訴えてくる。
汗ばんだ素肌を撫で、息を吐き出した。

「……どうして、ハンターって皆そうなんだろう」
「そういうもんなんだ、諦めろ」
「……馬鹿」
「幾らでも言ってくれ、俺もこうするしか出来ないような奴だ」

震えた肩を見下ろし、抱きすくめた身体を離す。歪んだその顔が妙に可愛く見え、影丸はふっと笑った。

「戻ってくる、必ず」

ギュ、とのくびれた腰を包む。応えるように、背にあるの手が小さくすぼまった。
顔を下げ、影丸はの唇を求めた。寝室に吹き込む風よりも、熱を帯びた空気が混じり、嵐の前触れの不穏さを溶かしてゆく。

「……馬鹿、戻ってこないと、困るよ」

それこそ注意深く耳をそばだてないと聞こえないような声音で、は呟いた。強く頷く代わりに、腕に力を込めて抱きすくめる。再び彼女を寝台に倒し、静かに両足を抱え情欲に猛った自身を埋めた。

例えばそのまま、霊峰に骨を埋める事となっても、後悔がないように。

けれど、またユクモ村へと戻って来て、もう一度彼女を抱けるように。

らしくもなくそう思い、影丸は冷静さを捨て、残さず全てを託すようにをその晩抱いた。
外の生温い風と嵐の気配は、強まるばかりである。



▲モドル






■ あ 新たな陶酔(擬人化ヒゲツ)


――――彼女は、人間だから

――――自分は、メラルーだから


結構な長い間、ヒゲツが自身へ言い聞かせたそれらの言葉は、それなりに自制心と諦めを働かせていた。事実その通りであったし、ぐうの音も出ない、覆しようのない現実であったからだ。
もう過去の出来事になってしまったが、渓流で暮らしていた桜色アイルーの姿というのは、今も浮かんでしまって。そしてそのアイルーが消えてしまった時、抱いた感情も一緒に無くなってしまえば良かったのだが、それが一人の人間の女性へ乗り移ってしまったのだから余計に面倒で。

あの桜色アイルーは、最初から、何処にも居なかった。
なのに、全く知らないはずの人間の女性に、桜色アイルーの面影が過ぎって仕方ない。

自分が懸想したのは、あのアイルーであったのか。それとも、仮初の姿をしていた人間の女性であったのか。
今も不確かな矛盾となって残り、ふとした時ヒゲツを悩ませる要因となってしまった。こういう時、カルトが心底羨ましいと、ヒゲツは度々思う。だが、結局のところ【人間とメラルー】という明確な現実は、苦悶の縁に立たされた時、呆気なく彼を引き戻した。
そうだろう、こんな小さなメラルーでは、今はもうまともに彼女と視線すら合わせられない。咄嗟に抱きとめる事も出来ない。同じ高さで手を握る事も叶わない。
その役目は、二人の旦那――セルギスと影丸が、する事だ。であれば、自分はそんな彼らに従うべきなのである。


……と、ヒゲツはヒゲツなりに諦めをつけていた。
はずだったのだが。

「ひ、ヒゲツ……?」

困惑した、の声。しかしそれ以上に困惑しているのは、当のヒゲツである。
見下ろした手は、褐色の肌をし五本の長い指が伸び。肉体は、猫の毛もなく滑らかな肌に覆われ。足は、長くすらりと地面に投げ出されている。
普段見ていたはずのメラルーの姿が何処にもなく。
見下ろしているだろう自身は、影丸やあるいはセルギスと同じ、人間の身体つきであるのだから。

「い、ったい……何が……」

両手で、顔に触れる。肩、腕、胸、足、全て手のひらで確認しても、紛れもなく現実らしい。一体何が起きたのだろう。確か先ほど、コウジンから差し出されたジュースを飲んだだけで、急に苦しくなって――――。

「……コウジン?」

ゆらり、とヒゲツがコウジンを見た。彼は隣でガタガタと真っ青になって震えていたが、本人も何が起きたのか分からないようで失神する手前である。

「ぼ、僕はただ……ドキドキノコを混ぜたジュースを渡しただけニャ……」
「…………なに?」
「ヒゲツを、お、驚かせてやろうと思って……なのに」
「ヒゲツの兄貴が、人間になっちゃったニャ!」

カルトが叫ぶや、コウジンは糸が切れたように白目を向いてバタリと気絶した。おい、気絶したいのは俺の方なんだが。
「ともかく、旦那や影丸とかにちょっと言ってくるニャー!」カルトはそう言って、パッと背を向け玄関を飛び出した。その場に残されたのは、びっくりしていると、ヒゲツのみである。

「……本当に、ヒゲツ……?」
「あ、ああ……いや、何が起きたのか、さっぱりだが」
「ちょ、ちょっと待ってね、鏡と……ッああ! ふ、服も何か出すから!」

は途端に慌てふためき、バタバタと二階へ駆け上がる。服? ヒゲツは改めて現状を確認する為に見下ろして見ると、全裸である事に思い至る。もともと服というものを着ない種族だから大して気にしていなかったが……着物を抱えて戻ってきたの様子を見て察するに、メラルーと人間では勝手が違うようだ。やはり。
女物の為、丈は短いが無いよりましだと、は着物を羽織らせる。何だか変な感じだな、とヒゲツが思っていると、その目の前に手鏡が差し出された。
「今の貴方よ」とが言う。ヒゲツは一度彼女を見て、それから鏡を覗き込む。

……これが、今の俺なのか。

他人を見ているような、気分だった。青がかった黒髪、金色の細い目、褐色の肌。セルギスや影丸とは違う顔立ちの、誰とも知らない人間の男が目の前に居る。

「……ドキドキノコ、かあ。本当に、何が起きるか分からないね」

呟いたにつられて、彼女を見る。は隣に座って、ヒゲツを見上げている。ふと伸びてくる白い手、青がかった髪を撫で、顔に触れた指先。
――――ぞわり、とヒゲツの背が震えた。

「セルギスさんと、同じくらいかな? 影丸や私よりは、ずっと年上な感じだし……」

温かい、指先。メラルーの時も彼女は撫でてきたが、何かが違う。ああそうか、毛が無くなった分、肌というものの感触が直接分かるのだろう。それに、普段見上げていたはずの彼女を、ヒゲツは今は見下ろしている。背丈と、体つきまで変わってしまっているのだから当然だ。が、普段より細く小さく見える。

……これが、セルギスや影丸の世界か。
メラルーにはどう足掻いても味わう事のない、彼女と対等の世界なのか。

人間に変わってしまった困惑は、消える。代わりに浮上するのは――――高揚感。あるいは、羨ましさ。妬ましさ。

「……? ヒゲツ?」

恐る恐る、と腕を上げる。褐色の色の手が、に向かう。

メラルーと人間だから、諦めがついていた。どう想ったところで、結局それが届く事も無いのだから、と。
だが、今は人間になってしまったのなら――――話は別、ではないだろうか。

かつて以前の主人は、ドキドキノコを口にし人間から雷狼竜へと変わったと云う。
ドキドキノコは、何をもたらすか今も解明されていない動植物の一つ。ヒゲツに与えられたものが何を意図してかは定かでないが、彼は思った。これは最初で最後の、一度限りのチャンスではないか、と。

伸ばした腕は、の背に回り、静かに引き寄せる。自分の腕なのに、自分のものではないような、不可思議な違和感。けれど腕に感じる柔らかな人間の女の存在が、脳に響く。
影丸やセルギスは、こうして彼女に触れられるのだろう。それとも、既にこうして触れていたのだろうか。

「……

不思議そうに、どうしたの、と首を傾げる。
細い首筋、小さな肩、細い腰。目眩がした。今自分は、彼女と対等なのだ。例えそれが、姿形ばかりのものであっても。

対等、なのだ。

「ヒゲツの兄貴、影丸と旦那を連れてきたニャ!」

カルトの声が聞こえ、複数の足音が聞こえる。あ、と声を漏らしたが、立ち上がろうとする。
全て認知していながら、ヒゲツはを引き寄せたまま、顔を下げた。ふと視界に映ったのは、の見開いた目であった。



▲モドル






■ ま 睫毛が濡れて(擬人化イビルジョー)


――――思った通りに、何処もかしこも美味かった。
イビルジョーに浮かぶ笑みは、無骨さの滲む三十歳を超えた顔立ちの造作に反して、奇妙な恍惚があった。それは蕩けた歓喜ではなく、どちらかと言えば浅黒い欲望が満ちている。
今でこそ人の姿であるが、かつてはその人間から最も恐れられた、暴食の竜であった……その逞しい体躯に、腕に、かの竜の禍々しい空気を纏っているようにも見える。いや、外見は人でも、その中身は大差なく凶暴で飽食の竜の本質が今も残ったまま。ある程度の自制心と満腹感は人と成った事で与えられたが、危険な鋭さはこの顔立ちを見るだけでも明らかだろう。
その彼の笑みは、今、木で作られた寝台の上でうつ伏せに捕らえられた、へ向けられている。スウ、と細められる眼に映る、衣服らしいものを奪われて晒される白い肌とその細さ。彼は浅ましさ隠さず、一層笑みを深める。
軽く食むと赤く色づく、太腿だとか。
舌でなぞっただけで跳ねる、腹だとか。
懸命に布を掴もうとする、細い指だとか。
ほんの些細な仕草と肉体に、ぐつぐつと何かが煮える。食欲、にも近いが、もっと別のものだ。これまでは、ちっぽけな人の雌と巨大な竜という覆しようのない現実のせいで、例え柔く触れても満足に彼女の感触や姿を知る事が出来なかった。力加減を間違えれば、ちっぽけな彼女などあっという間に物言わぬ肉の塊になるのだから。それでも、彼女が来てくれるのならば、意思を交わせるのならば、空腹感を抑えてただ横たわって丸まっているだけでも十分であったあの頃。思い出せばいじらしい限りであるだが、あの竜の巨体が無くなった今では、そんな馬鹿らしい遠慮など必要ないだろう。
のあらゆる部位をまじまじと見ては、口に含んで、舌で覚え、手で知る日々。別に血が滲んでいるわけでもないし、傷つけているわけでもない、味だってあるわけでもないが、その舌で覚え込むのは全て【美味い】という事である。
うつ伏せの細い身体の上へ、イビルジョーは楽々と覆い被さる。目の前の丸い右肩にかぶりつくと、微かに震えたそれが面白いくらいに飛び跳ねた。

「人間の身体ってのは、こういう時便利だ。間違って殺す事もねえし、なにより――――好きなだけ《食える》」

痕がつかないよう、甘噛みより弱く食む。口を離して、代わりに舌を伸ばす。熱い舌先が、の肩から後ろ首、耳の裏へと這い上がる。俯いたから、息を噛む振動が聞こえた。
シーツを蹴る足は頼りなく、何をするでもなく圧し掛かっただけで身動きすら奪われる。雌と雄の差、人間になっても顕著だが今はそれが戦慄くほどに嬉しく思う。

なに、ずうっと思っていたからだ。
彼女を壊す事なく奪えたら、と。

「甘いなあ、お前さんは」
「あ……ッ」

捩った身体が、イビルジョーの胸の下で震える。逃げる様子はない、が、を挟み込むように両腕を伸ばして肘をつく。すっぱりと影に収まってしまうような小ささ、それに焦がれていたのは他でもないイビルジョーである。唇で咥えたの耳は少し冷たかったが、赤くなり熱が滲んでいる。
ぐい、と唐突に掴んだ二の腕を引っ張り、うつ伏せの彼女を仰向けへと直す。呆気なく反転した彼女の身体は、腹を見せて無防備に寝転がった。噛み付いたら簡単に破れそうな、白い身体。素肌の柔い香りに、ぞくりと背筋が震えた。よりも遥かに広く、硬い背筋が、だ。

小さいから分からり難かったが、まじまじと等倍で見ると、本当に【雌】だなと思う。
人間の個体差、竜と人の造形の差異は今も不思議であるが、こうして見下ろすは――――。

「ジョー、さん」

上気した頬が強張る。濡れた眼は怯えているのかもしれないが、絶対の拒絶がない事は分かる。押し付けられた腕の先、自由に動く細い手は、イビルジョーの手に重ねられている。こういう単純じゃないところが、人間の面倒なところであるが……悪い気は、しない。イビルジョーは笑い、つり上がった口角の端を舌で舐めた。
ふと、顔を下げ、眼前で無防備に上下している柔らかな胸に口を寄せる。人間の雌にのみ備わっているというそれを、イビルジョーは情緒なく尖った歯を見せ口を開ける。文字通りに、食らいつく光景であっただろう。の肉体が跳ねる。もしかしたら、そのまま力を入れれば、食い千切れるのかもしれない。く、と力が入るが、甘噛み程度で留まった。普段とは違う、頼りない色めいた声を聞いている方がよほど楽しい。

「う、ん……ッジョー、さ……ッ」
「んー……?」
「た、食べ、食べないで、下さいね……ッ?」

一瞬、イビルジョーは目を丸くした。本当に、食われると思ってるわけじゃあるめえな。彼は言おうとし、だが、言葉を改めて考える。そうすると、浮かべた笑みは意地が悪く深まった。
カリ、と柔く乳房の先端を食む。情けない声が、からこぼれた。

「そうだなあ、それも悪かねえとはいつも思うな」
「や、あう……ッ」
「お前さんの血を、肉を、骨を、全部食い尽くして腹に収めるのも、悪かない。だが、それじゃあつまらねえだろう」

ひとしきり口で味わった後に、乳房を解放する。ぷるりと震えた様が、やけに艶かしい。
弾む息を漏らすの顔へと、ずいっと近付いた。厚みも太さも違う肉体が、一つに折り重なる。

「それより、お前さんの身体を潰さずに触れる、自由の利く格好になったんだ。なら、そっちを楽しむ方が利口ってものよ」

首も、腕も、足も、腹も。頭の先から、足の先まで。余す事無く口で確かめ、味わい尽くす方が、よほど。
あの頃じゃ叶わなかった、多くの願望。抱き続けた浅ましい欲が、躊躇も遠慮もなく声となってへ落ちる。困惑して、真っ赤になったの顔……ほら、そういうのが良い。そういうのを、見ている方が良い。
ギュッと堪えるように顰めるの目尻に、濡れた粒が溢れる。頬を伝いそうなそれを視止め、イビルジョーは低い声で尋ねる。

「嫌か」

ほんの僅かな沈黙を挟み、の頭は弱く首を振る。
落ちそうになった雫を、イビルジョーの舌先が伸びて掬い取った。温い、塩の味。だというのに、痺れるほどに甘い。

「――――やっぱり美味いなあ、お前さんは」

掴んでいた二の腕を離し、その代わり背中に捻じ込んで抱きすくめる。眦へ唇を押し付けると、の腕が上がって肩を包んだ。
その頼りなさと柔さに、やはり空腹に似た情欲が浮かんだ。



▲モドル






■ さ 醒めない夢(擬人化ナルガクルガ)


未だ陽が昇らない、仄蒼い空。寝静まる沈黙が、肌寒い空気に含まれ霧と共に漂っていた。白い影が静かに寄り添う、人間の集落。明朝はまだ良い、日の出と共に賑やかになるのだから、人間たちは忙しなくてかなわない。
自分たちとは異なる、生活。だからこそ、彼らを自分たちは恐れているのだろう。
今やもう感覚などない、其処に目玉すらあるわけがない、潰れた左目が微かに疼いた。
部屋の窓を開け放ち、其処へ乗り上げて薄ぼんやりと見ているナルガクルガは、背を壁に預けて息を吐き出す。
キシ、と床板が軋んだのはその時だ。野生の頃の名残でか、食って掛かる勢いで顔を向けると、其処に佇むの姿に拍子抜けした。

……そうだな、此処は人間の集落だ。

「ナルガ……?」

そのはというと、睨まれた事も気付かず欠伸をこぼしながらフラフラ近づいてくる。自然の中でなら即食われているだろうに、と思いつつナルガクルガは体勢を直す。

「起きたのか」

尋ねてみたが、彼女は不明瞭に声を上げながら、近づいてきて。何を思ったのか隣で頭を揺らし始めた。

「眠いなら寝てろよ」

は相変わらず不明瞭な返事しかしない。半分寝てんじゃねえのか、とナルガクルガが呆れると、彼女はようやくそれらしい言葉を呟いた。

「……渓流に」
「は……?」
「渓流に、帰るのかと思った」

ゴシゴシ、と目を擦る。そうするとようやく意識もはっきりとしてきたのか、の目はナルガクルガのそれを見た。傷跡がはっきり残る左目か、生きた右目か。どちらであるかは知らない。

「……こんな格好で戻ったところで、やってくには大変だろ」
「そうだけどね……」

何を言いたいのか分かり、ナルガクルガは息を荒っぽく吐き出す。それから、に向かい腕を伸ばす。ちょいちょい、と手招きするその手を、は疑いもなく取った。ナルガクルガはぐっと引き寄せるとわりと容易く引き上げて膝の上に乗せた。ぼす、と背中を預ける格好になりは離れようとしたが、直ぐ隣が何の柵もない窓の向こうという事に気付いたらしく暴れる間際で踏みとどまっていた。
仕方なさそうに背を預ける彼女を、ナルガクルガは遠慮なく後ろから抱き込む。夜明け前の肌寒さには、の体温が心地よかった。

「別に人間は嫌いでも、出ていく理由にはならない。嫌だったら、もう前に消えてる」
「……そうだね」

呟いた声に、やはり自分が人里を離れると思っていたらしい事を確信する。
ナルガクルガは、今一度息を吐き出す。

彼が人間の姿ではなく、獣の姿で暮らしていた幼竜の頃。
巣に突然進入してきた人間の密猟者たちに左目は潰され、駆けつけた親竜に庇われ辛うじて生きながらえたが、その親竜と他の兄弟たちは皆殺されて連れて行かれた。ひとりぼっちに残された幼竜は奇跡的に成竜にまで成長したが、彼はその後見事に密猟者たちと関係者諸侯に復讐を遂げる。探すのは簡単だった。親竜の毛皮が、兄弟たちの小さな毛皮が、自慢げに飾られていたのだから。馬鹿が、匂いを忘れるわけがないだろう。相手が貴族だろうと何だろうと、彼にとって関係の無い事で、その牙で、爪で、翼で、まともに身体が機能出来なくなるまで攻撃してやった。
あれが果たして竜の身内に対する情であるかは、彼にとってはどうでも良い事である。ただ単純に、彼自身の恨みで行動していた。潰れた左目に、何が戻ってくる訳もない。

以来、その隻眼の迅竜が人間を心底嫌いになっても不思議ではないだろう。

であれば、こうして彼が人となって、あまつさえ人の集落に居る事は、矛盾でもある。一重に今彼が抱き抱えている存在が、迅竜としての心を抑えている要因であるものの、口に出すには彼の捻くれた性格が邪魔をする。

「出てはいかない、此処で暮らしてた方が俺にとっては得だ」

――――が居るから、などと。
例え心の底でそう思っていようと、とても素面では言えそうにない。

は気にした風もなく、そっか、と小さく笑う。普段も気が抜けているが、さらに輪をかけ気が抜けた声が直ぐ傍で聞こえてくる。ふわふわして、柔らかく、在りし日の親竜にも似た温かさ。竜が生きてゆく上で取るに足らないものを思い出させる彼女に、意味のない焦燥と憎らしさを感じては迅竜の頃はどれほど怯えさせたか定かでない。
要するに今も昔も変わらず、ガキのままなのだ。
黙りこくって、その分腕の力だけが増すと、がふと呟いた。うつらうつら、船を漕ぐ声と瞼の震え。

「……今日はさ、一緒に何処か行きましょうよ」
「……何処か、てのは」
「貴方の、気になるところ。自然でも良いし……この村の、気になったところでも良いの」

こてり、と預けられたの頭が横を向く。背伸びするように頭がくっと上がってきて、ナルガクルガの顔を見上げた。

「人を好きになれ、なんて言えないけど……私は、貴方が中身は迅竜っていう獣でも……気にしない、から」

支離滅裂だ、半分寝ている。ナルガクルガは言葉こそ冷ややかであるが、彼女を見下ろす目は意図せず優しく細められ、の言葉に耳をそばだてていた。

「……寝ろよ、馬鹿」
「ふふ、そうだね……もう一度寝て、朝起きたら……」
「分かったから、寝てろ」

恥ずかしさ紛れに言えば、は笑ったまま顔を上げて。
斜めに傷跡の走る左目へ、唇を重ねた。
ほんの掠める程度の、触れたかどうかも定かでない儚さに、ナルガクルガは肩を揺らした。

「そうだね……朝が来たら、起こしてね。ちゃんと……」

楽々と預ける背が、ぐっと重くなった。次いで聞こえる寝息に、ナルガクルガは行き場のない感情が膨れた。それは彼ら迅竜の特徴であるように、瞳に赤い眼光が宿り揺らいだ。怒りというより、興奮である。

「……馬鹿だろ、お前。本当に」

そう悪態を付いておきながら。
そういう彼女から離れる事など出来ない己の方が心よりの馬鹿であるのだと、彼は分かっていた。

しばらくし、空が明らんできて、光の増す気配を感じた。夜明けが近いのだ。
膝上に抱えたを、強く抱きしめる。潰れた左目を彼女に寄せ、彼も静かに瞼を伏せた。周囲を酷く警戒していながら、腕に抱えた一人の人間を宝物のように閉じこめる男の姿は、きっと手負いの獣のようであったに違いない。

人間の姿をしただけの獣と、獣の声を聞いた人間。
醒める事無く永劫続く時間を、もしも欲したとしたら。
この瞬間の事を、指して云うのだろう。



▲モドル

お題サイト【as far as I know】様より、【キスの甘さ】で6題。
ほんのりからがっつりまで、エロ要素もねじ込んで見ました。
今まで原型モンスターばかりでしたが、擬人化も愛してるんだぜ!という想いを込めて執筆。

ちなみにこのサイトでは、先人の知恵を拝借し【ドキドキノコ食べるorモドリ玉を浴びると、モンスターが人間になる】という設定を盛り込んでます。
桜色アイルーの長編でも、盛り込んであります。
道を切り開いた勇者様、ありがとう。

お題の通りに、キスの甘さがあるかどうかは甚だ疑問ですが、さくっと呼んで楽しんで下されば幸いです。
せめて塩辛くない事を、願って。

(お題借用:as far as I know 様)

2013.09.05