鳥に小夜風

飄々と掴めぬ振る舞いと、独特なしゃがれた声。
涼しく打ち鳴らす錫杖の向こう、目深に被った笠の下で見据える双眼。
それでいて、《鳳雛》と謳われる、蜀を支える武将たちの一柱。
ホウ統という人物は、にとっても不思議な存在であった。彼の纏う空気は、僅かでも崩れる事があるのだろうかと、疑問に感じる事が多い。もしもあるとすれば、それは戦の時か。それとも、政の時か。考えて見ても、ホウ統が慌てる姿なんて結局想像もつかないから、やはり彼の不思議な空気は崩れる事が無いのだろう。
少なくとも、一介の女官如きが、彼の調子を狂わす事は出来ないと理解はしている。


藍色の影を孕む部屋に滑り込んだ、白い月光がやけに目映く鮮やか。
それでも、部屋の半分ほどは陣取っている書簡の束と古い蔵書の積み重なった有様に、優雅さは吸い取られ侘びしさの方が恐らく強い。華美な装飾のない、必要と思う机と椅子、寝台だけの部屋。陽の光が沈み、月の光が見えるようにもなれば、視界からも《静寂》というものを得られそうだった。
それが、ホウ統の自室である。
大きく精巧な造りの寝台の上に、ホウ統がゆったりと座り。その彼の前に、がか細く座っていた。

宥め賺すホウ統の手は乾いている。手のひらには、武芸を扱う肉刺。筋の浮き出た指には、筆の胼胝。均等性のない造形を取る手に、国を支える覚悟がありありと表れているように思う。はその手に触れられる事が、嫌いではなかった。ただ自分は、その手に見合うだけの身体はしていない、それが恥ずかしくもある。の肌も、丸い肩も、傷の少ない身体も。ホウ統の手を感じるには、脆弱だとも。

「……なあに、緊張してんだい」

笑みを含んだいつもの声が、の耳を撫でた。あっと顔を上げると、薄ら白い月明かりに照らし出された、ホウ統の顔とぶつかる。普段被っている笠は外され、その下でなかなか見られる事のないホウ統の穏やかな表情がを見下ろす。《鳳雛》と、他国からも恐れられる軍師の滅多に見せない顔ばせは、蜀にも存在する多くの若い美丈夫とは違い、皺の増えてくる壮年のそれで、肌も浅黒い。それでもその落ち着きと、穏やかな笑みは、彼しか持ち得ないものであって、ずっと年下なには抗えない魅力にも見えた。

するり、するり

ホウ統の手は、ゆったりと。ゆったりと。焦りも緊張もなく、を宥める。蜀の象徴の色彩でもある鮮やかな若葉色、惜しみなく染め身を包む事を許された女官衣装が、気付かぬ内に解け滑り落ちるほどの、仕草で。
手間を掛けさせず自分で脱いだ方が良いのだろうか、と常思うが、慌てるばかりで結局何の手助けも出来そうにない。静かな外気に晒された肌が心許なく震えると、再びホウ統の筋張ったデコボコの手が重なる。中途半端に衣装が絡まり部分部分で剥き出しになっている、背と、腕と、肩、首。かさついている手のひらは広く、ゆったり輪郭をなぞる。
は、ぎゅっと眉を寄せ途端に増す熱さに耐える。だが、ホウ統の腕が回されて引き寄せられると、薄く開いた口から吐息がこぼれる。

名だたる武将たちよりも細く、小柄で、背丈もとあまり変わらないホウ統。得意とする分野が、武力ではなく知略であった為の必然だが、細い女に比べれば体格差はやはり歴然であるし、何より腕の力は強い。強引ではない、が、抗えないものを抱かせる。

「ホウ統、様」

少し解けたホウ統の厚い布地の衣服、覗く胸に自らの胸を差し出してはぎこちなく寄った。ゆったり開いた彼の両足の間に埋まり、腕を伸ばし、背を不器用に手繰り寄せる。
ホウ統の目はやはり穏やかで、口元は変わらず笑っている。足の間に抱えたの、露わになった背筋の曲線を、ゆるゆるとなぞり上げる。

「大丈夫、あっしは別に逃げやしないよ……それとも、おっかないのかい」
「あ、ち、違います……でも……ッ」

しかし、言い得て妙。限りなく、近い心情を当てている。
闇の中に見えるホウ統は、日中に見る彼と何も変わっていないようにには見える。穏やかで、物事を冷静に見据え、寝台の上でも狂う事は無く。掴まなければ、目の前から置き去りにされるような、焦燥感。いや、この焦燥感は肌をなぞる優しいかさついた指先が、生み出しているものかもしれないが。
にとってはともかく、ホウ統の腕の中で彼を追いかけているようなものであった。
そうすると。ホウ統はあの声を、満足そうに震わせて笑う。背を懸命に探るの両腕を、やんわりと距離を置いて遠ざけて、僅かな空白を身体の間に作る。あ、と声が漏れる間も無く、肘に引っかかっていた女官衣装が抜け落ちる。否、ホウ統の手で、何の遮りにもならない素肌の色さえ透き通る薄い衣だけが残された。それもいっそ脱いでしまった方が早いような状態であるから、はだけ現れた柔らかな胸が、ホウ統の手を難なく受け入れる。
丸い肩が跳ね、息が弾んだ。その振動は、ホウ統にも通じる。細い身体が反射的に退いたが、ホウ統の緩く巻かれた腕が即座に拒む。ゆったりとホウ統の手のひらがすぼまり、形よく丸く膨らんだ片胸が覆われると、背に回る腕と共に今一度距離が縮まった。
困惑しているように歪むの頬が、途端に赤く染まり、ぎこちない唇から弾んで落ちる声に艶が増す。
普段は、乱れてはならぬとややきつめに襟を合わせ帯を結んでいるが、の胸部は豊かで、衣服の上からも見て取れているだろう。別に凝視しているわけではないけれど、ホウ統はそう見ているので、恐らく周囲もそう思っているに違いない。が、その下に隠された、女性の象徴の一つたる素肌の乳房の形や、輪郭、弾力がある柔らかさは、ホウ統の手のひらのみが知っている事である。ぎこちなくホウ統の肩を掴みながら、どうするべきかと迷い口元を隠しがちになるその細い手の仕草も。
楽々と見つめているのにも気付かず、は乾いた手のひらが与える柔い温もりと強弱の波に息をほろほろとこぼしていた。筋張った指が、自身の肉に埋もれる。撫でる。持ち上げる。筆を取る指が、今はの肌に触れている。胼胝の感触は、やはり嫌いでなかった。

「……おいで」

腕に引き寄せられて、吐息混じりにされるがまま膝を立たせると。ホウ統の足が胡座をかいて、その上へとは横座りにさせられた。

「わた、しには……ッ恐れ多い……」
「今更、気にする事じゃあないよ。さん」

背に回った腕が、ゆっくりと下がり、の無防備な腰を捕らえる。笑みを含む声が、低く、耳元で響く。片胸を柔らかく包んでいたホウ統の手が、滑るように上がってゆき、首筋を撫でて顎と頬に重なった。ぞくりと震えを覚えながら、導かれ顔を上げると、思慮深いホウ統の黒い瞳が間近に近づいていた。温かみを帯びた空気の流れが、唇に当たる。込み上げる恥ずかしさにの目が泳ぐけれど、覗くホウ統の視線からは逃げられそうになく、ギュッと縮こまった。
ふ、とホウ統が息を吐き出す。目の前に丁度よくあるの色づく唇に、彼の薄く開いた唇が重なり食んだ。顎を持ち上げたホウ統の手が下がり、放っておかれた乳房が再び包まれる。
二重の意味でも驚いて身体が跳ねたが、腰を撫でさすられ張った肩が下りる。
とん、とん。凹凸のある手のひらが、柔く叩く。それから、窄まる手のひらが撫で、持ち上げ、埋まる。壮年の、太い指先。ひたりと吸い付くように、唇も緩く這う。吐息が蝕まれ、くすぐったい心地よさと熱さに目眩がする。
一切の激しさは無い、むしろ優しいものだろう。だが、ジリジリと追いつめられるような、あるいは追い縋りたくなるような、もどかしい焦燥が熱と共に全身を這う。
優しい。優しい仕草。けれど。
のしかめていた眉が、薄く色づいた眦が、蕩けるように緩まる。ホウ統に抱えられた身体を、震わせながら寄らせ、迷いがちに彼に手を伸ばす。心許なく、腕を掴んだり、肩を押したり、首に触れたりと、細い指先の動きはの心が表れているようだった。
伸びた月明かりに照らされる、書物の匂いが満ちた部屋に、の声と色香が混じる。ホウ統は、ふっと目を細める。かさついた手を包む、優美な柔らかさとしっとりと汗ばんだ感触。真面目で優しい性格な分、成熟した身体は異性との接触に極端に不慣れで、けれどそれが解けてゆく様は、ホウ統でさえも優越感が湧いたほどである。政であれ戦であれ、見えぬ行き先を知謀で道を作る軍師は何処までも冷静であらねばならない。けれど、白く細い指先が、若さとは離れてきたこの身体に触れてくるのを。拒む男が、この世でどれほど居るものか。
ぐ、とホウ統の腕が抱え寄せると、の手が肩に回る。するり、と衣擦れの音色を微かに奏でる。唇が離れると、の顔が落ちるようにホウ統の首筋に寄りかかり、肩に顎を乗せ息を吐き出す。甘く、熱を含んだ息づかいが、ホウ統の耳元で無意識の誘惑を醸す。
薄暗い影に浮かぶ白い肌、濡れた黒髪が弓なりの曲線を描く背を美しく流れる。ぎこちない指先は、ホウ統を探し求める。

「……全く、参るねえ」

小さく笑い、の身体を横へとずらす。足の上から寝台の上へと、の四肢が無防備に横たわる。既に身に纏う意味のない、薄い衣が左右へと割れてはだけ、の首筋から肉付きの良い胸部からほっそりした腰、真っ白な腹と太股まで、薄ら明るい室内に浮かび上がる。
が、背に敷布の軟らかさを覚えた時、目の前には天井とホウ統の顔があった。の左隣へと身を寄せ、背を屈める。伸ばした右手を、の身体を跨いで腰の真横に置く。敷布がたわむ振動、はあっと弾んだ息を漏らした。
ホウ統様、と掠れて呼ぶ声に応えるように、彼の顔が下がる。眉間に触れる唇が、鼻筋、口元へと下り、こそばゆい口付けには身動ぎをする。
伸ばした手を、ホウ統の胸に押し当てる。衣服がずれ、覗く胸が先ほどより露わになっている。厚くはない、首筋と同じ浅黒い肌色。少し、汗ばんでいる。指先でなぞっていると、ホウ統がくつくつと笑う。

「少し、こそばゆいかねえ」
「あ……ッすみません」
「いんや、あっしに触るのはお前さんくらいだ……好きなようにしな」

そうやって笑って、片手で衣服を緩める。筋の浮かんだ首筋と鎖骨、肩が現れ、は触れていた手を滑らせると首に回した。肌の匂い。墨、書簡の匂い。吸い込み、ホウ統の温もりに頬を染める。
下がったホウ統の顔が、の唇を求め再び重なった。宥めるような柔らかく食む口付けが、ホウ統の舌が侵入してきた事で変わる。緩まったの眉が、微かにひそめられる。けれどそれは嫌悪ではなく、甘やかさに加わる熱さと、全て奪い取られる錯覚が唾液と共に混ぜられる。途端に指先 が悴み、ホウ統の背で丸まる。
小さく笑い、右腕を持ち上げる。の肌を撫でながら下り、腹部に到達した時。びくり、との脚が震えた。緩やかに立った膝は、困惑か、羞恥か、どちらともだろうかとホウ統は思い、素早く膝裏に右手を回した。肘の丁度曲がる間接部で片足を抱え、その間に手を這わす。

「あ……ッ」

離れた唇から、声が弾む。柔らかい、色づいた唇。それを舌先でなぞって、ホウ統の指が秘めた箇所に触れた。
途端に跳ね上がった身体が、ホウ統にぶつかる。彼はけれど離そうとはせず、顔を覗き込んだまま手を進める。杖と、筆と、本ばかりに慣れた硬い指先に触れる、籠もった熱さと、悦んだ証の泥濘。無骨な手には、不釣り合いな美しさと、艶やかさ。城の男たちはどう思うだろう、穏やかながら肝が据わるの蕩けた肉体が自らの下にある事を。ホウ統は何となしに思い浮かべ、やっかみを受けるのだろうなと、容易に想像が付いた。願ってもない事である。
のひそめた眉がさらに色濃く、細めた瞳が閉ざされる、眦に甘い涙が滲む。縋る四肢を抱き留めて、純然たる喜びがあった。

「気持ちよかったかい、嬉しいねえ」

吐息が吹きかけられるほどの距離で、ホウ統が告げる。優しく、いつもの調子で。既に真っ赤になっているというのに、身体までも染まる想いであった。
ホウ統の指は、未だ性の行為にぎこちない秘所の肉を分けて進み、それでも悦び溢れる蜜を掬って、柔くなぞる。
ぞくり、ぞくり、と震えが這い上がる。ホウ統の手で容易く溶ける身体が、寝台の上で捩りどうにかその痺れに耐える。そうすると、指先が動きを変え、を脅かす。恐ろしいほどの心地よさと、暖かさ、側の温もりと墨の匂いに包まれ、女官如きが丹念に甘やかされる。

「……ホウ統様……ッあ……」

嬉しい、けれど。
同時に、思う。

「私、ばかり……ッ」

が息をこぼして呟くと、ホウ統の目が丸くなった。ぎこちなく開かれた瞼の向こうで、濡れた黒い瞳が現れる。ホウ統を見上げ、蕩けた声は縋る。私、ばかり。ホウ統は、その言葉をしっかりと聞いて、意図を理解した。はそういう性格である。だから、思わず笑った。

「有り難いねえ、でもね、これはあっしが好きでやっている事だ。お前さんが、気にするところじゃあないよ」
「でも……ッん……私、ホウ統様の事……」

満足、させているかどうか……。
モゴモゴと言うに、なおホウ統は笑う。分かっていない子だ、全く。その目で、指で、言葉で、今どれほど目眩がしたか、気付いていないようだ。
秘所をなぞる指を、不意に埋める。泥濘に飲み込まれ、奥へと誘う蠢きに、指が締め付けられる。
の唇から色を含んだ声がこぼれ、ホウ統の肩を掴む。

「あっしは口が上手くない。女の扱いも上手かないだろうがね。だから、不思議でもあるよ……お前さん、何であっしなんか選んじまったのか」

耳元で、ホウ統の声が響く。秘所の浅い場所を出入りする指先が、違和感から悦びに変わり、神経を溶かす。

「もっと良い、若い男もたんと居るってのにねえ。あっしを選んじまって……あっしの方が、お前さんに溺れ始めてる」

焦燥にも似たもどかしさで、追い縋る仕草も。拒まず受け入れる肉体も。若くはない肌をなぞる手も。彼女が気付いていなくとも、少なくともホウ統にとっては自らの理性を砕く傾国の美貌をに見出していた。
しとどに蜜が溢れ出て、無骨な指先が湿りふやけたところで、ホウ統は指を引き抜き手を離す。持ち上げた脚を敷布に下ろすと、震えた腰がもどかしく捩った。

「……気付いていないかい、あっしは今も、余裕なんざ欠片もないんだよ」

汗ばみ、染まる肉体に跨がる。投げ出した両足が抱えられ、静かに割られ る。寝台が微かに軋む音の向こうで、衣擦れが混じる。覆い被さったホウ統の影が、に掛かる。窓辺は薄ら明るく染まり、ぼんやり照らされたホウ統の横顔は笑みはなく真剣であった。
解けた帯が落ち、衣服が広がる。何処を見れば良いかの視線がしばし泳ぐと。ふと、腰を抱かれ、持ち上げられる。
そうして、触れる、熱い肉の感触。びく、と跳ねた腹部に、触れるそれは、恐らくはホウ統の――――。

「ホウ統、様……ッ」

の声が、熱で震える。困惑、羞恥、期待……綯い交ぜになる仕草に、ホウ統はやはり小さく笑う。普段の調子とは異なる、何処かぎこちない微かな笑み。知謀で国を支え、共に行く、軍師の飄々としたものではなく、それはに対してのものだったのだろう。
ぐ、と抱えられた脚が持ち直される。白い腹に押しつけられたものが離れ、脚の間へと下がる。位置を定め、開かれた秘所にひたりと先端が重なった。

「……何、あっしもお前さんも、まだまだって事さね。色んな意味で」

その言葉の意味を聞く前に。
の胎内に、ホウ統の肉が埋められる。
その圧と隙間無く満ちて押し広げられる感覚に、胎内から全身へと震えが巡る。甘く声を漏らして仰け反ったの身体に、ホウ統の身体が重なる。震えた、微かに語尾が跳ねる声で、「おいで」と言われ、は夢中でホウ統の身体を探る。彼の背に腕が回り、ぎゅっと抱き込んだ時。その手のひらには、彼の汗と熱さが伝わった。
ホウ統の手が、の脚を離し、敷布を掴む。ゆったり、緩慢に腰を揺らす様はやはり優しく、息苦しさが目眩を覚える心地よさにすり替わる。胸が満ち、胎内が震え、身体が包まれる。堪えきれず漏れるの声の向こうで、ホウ統の掠れた声が微かに聞こえた。

「――――

その声で、は全身を震わせた。



終始、愛され甘やかされ、暴力的な快楽ではなく幸福感ばかりで満たされた、穏やかな情事の後。
本来なら早々に立ち去るべきところであるが、ホウ統が「あっしも年だ、見送れない」と起きあがろうとするを寝台に縫い留め、埋まってしまった。は躊躇ったものの、ホウ統がいつもの声でそうしろと言うので、同じように彼の隣で横たわった。
薄ら明るい月光が、傾いている。静寂が戻った室内に、真夜中の無音が染み入る。
薄い衣を着直したの身体は、未だ火照り、甘い熱さが疼く。それを、ホウ統は抱き寄せて腕に閉じこめていた。
が、は、せめてもの代わりにと。

「……お前さん、何してんだい」

ホウ統の頭を、胸に抱いてみる事にした。

の柔らかで豊かな胸が、ホウ統の顔の真正面から押しつけられる。鼻腔に、彼女の素肌の匂いが意志に反し吸い込まれる。どういう状況かと、さすがの鳳雛も計りかねて、困惑を通り越し素の声が出ていた。

「あの、お疲れを取り除けないかと思って……」

癒えるどころか、治まった情欲が再びぶり返すようでもあったが。
ホウ統は寡黙にそう思ったのだけれど、弾力のある豊満な胸は離れず、後ろ頭を優しく撫でられ。

「私に出来るのは、これくらいですから」

満足そうに告げた声に、ホウ統でなくとも男なら恐らく誰一人として抗えないだろう。やり方は少々斜め上に向かったが、悪い気はしないのも事実である。
ホウ統は、の身体を今一度抱き寄せ、頭の位置を直す。

「そうかい……あっしにこんな事するんて、お前さんやっぱり物好きだよ」

でもまあ、ありがとうよ。そう告げたホウ統の声は、珍しく照れたようでもあったから。
はい、とは返事をし、ホウ統の後ろ頭を柔らかく撫でた。



ホウ統様って、激しさから全く無縁なイメージなんですが。
ゲーム中では空飛んだり風起こしたり大変だけど! きっとベッドではこんな感じ、という管理人の妄想。
じゃっかん策略じみているのはご愛敬。軍師ですし。

2013.03.30