04(18禁)
男達の隠れ家だろう廃墟の外は、木々が立ち塞がり、深い暗闇を湛えていた。いつの間にか、随分と時刻が進んでいたらしい。夜間に森の中を動き回るのは非常に危険であるけれど、今は一刻も早くこの場を離れたい。ラースの聴覚を頼りに、木々の間を移動してゆく。幸いだったのが、今夜の月明かりは殊更に目映く、目の前を淡く照らされている事だ。加えて、森を進むラースから警戒する様子は感じない。危険なものがないのなら、街道にだって案外すぐ出られるだろう。
しばらく進んでいると、行く手に連なっていた木々の群衆が消え、視界が不意に開けた。
飛び込んできたのは、静謐な湖の風景であった。
豊かな緑に囲まれひっそりと在る湖は、美しく澄み渡っており、その透き通った湖面には昇り詰めた銀色の月が鏡のように映し出されている。
「えらい、ラース。見通しも良いし、ちょっとだけ休憩していこう」
ついでに、汚れたままのこの身体も、綺麗にしなければ。
はラースの背から飛び降り、小走りで湖の側へ駆け寄る。古びた外套を肩から滑り落とし、中途半端に残っている引き裂かれた衣服も全て脱いでゆく。の身体は、あの男達の吐き出した白い飛沫が、べったりとこびり付いたままなのだ。
おぞましい有様に不快感が強まり、焦燥に駆られながらさっさと何も纏わない裸になると、水辺にしゃがみ湖の中へ両手を沈めた。予想以上にひんやりと冷たい温度に驚いたが、手のひらに掬い取り、首から掛け流す。こんなに綺麗な湖を、汚してしまってはもったいない。白い汚れを拭ったのち、湖の中へ静かに身体を沈めた。
冷たい。けど、気持ちが良い。
頭も、身体も、淀んだものが洗い流され、すっきりとしてゆく。
少しの間、胸の下まで水に浸かり、その冷たさと心地好さを堪能した。
「――グルルルル」
静寂の中、ふと響いた、重厚な鳴き声。
ぱしゃりと水音を立て振り返ると、湖の岸辺からラースがじっと見つめていた。そしてもう一度、グルル、と鳴き声をこぼす。
「どうしたの、ラース。ラースも、身体を綺麗にしたい?」
もしかしたら私が乗った事で、彼の鱗も汚れてしまったかもしれない。そう思い、水の中から出て岸辺に戻ると、すぐさまラースが大きく一歩踏み出し近付いてきた。まだ若く瑞々しい緑色の鱗に包まれた頭を下げ、水で濡れたの首筋や胸元に鼻先を押し当てる。匂いを嗅いでいるようだった。それ自体はいつもの事ではあるのだが、今夜はあまりにも執拗だった。の身体がよろめくほど、強く頭を擦り付け、何度も鼻息を鳴らしている。その勢いに圧され、ついには尻もちをついて倒れ込んでしまった。
「ラ、ラース、わぷっ」
緑竜の顎が目の前で開かれ、そこに擁した無数の鋭い牙が覗く。その向こうから、赤みを帯びた、長い舌が伸びてきた。人や獣とは違う、分厚く舌先が二股に分かれた、生温かい温度を宿す舌だ。それが幾度も、の首筋や鎖骨、胸元を這い回った。
湖の冷たい雫が、生温かい唾液に染められたけれど、不快さは感じなかった。それどころか、の唇からこぼれる溜め息は、微かな熱を帯び始めていた。
「ラース、ん……ッ」
竜の舌は、肌の上を何度も往復する。まるで、こびり付いた汚れをこそぎ落とすようだ。太い首から絶えず響いている唸り声は、何処となく不機嫌な低音を含んでいる。
抱きしめるように、ラースの頭に両腕を伸ばす。他と比べ柔らかい喉元を、手のひらで撫でてやれば、少しだけ機嫌が良くなったのか間延びした甘えた音が混じった。
「どうしたの、ラース」
鼻筋に額を重ね、金色の竜の目を見つめる。返ってくるのは、無言の気迫である。どうしたものかと視線を外した、その時、ラースの腹部がの瞳に映り込んだ。
頑強な躯体の大部分を薄い緑色の鱗が覆っているが、喉元や腹部は比較的柔らかく、ベージュがかった白色のざらついた表皮を有している。若い個体であるラースにとってそこが数少ない弱点であるが、太い二本の後ろ足の間、普段はつるりと平らなそこから――生殖器が露出していた。
普段は閉じ切っているスリットが開き、ずるりと伸びたそれは、デコボコとし鮮やかな赤色で滾っている。およそ、人のものとは異なる容貌だった。
ああ、とは吐息を漏らすと、人知れず微笑み、ラースの首を優しく叩く。グルグルと、甘えた喉の振動が手のひらへ伝わってきた。
「――うん、そっか。そういえば、ここのところ、ずっと移動ばっかりだったものね」
そうだろう、とでも告げるように、ラースが小さく吼えた。それをあやし横になるよう促せば、ラースは正しく理解し、すぐさまその場にごろりと巨体を横たえた。駿馬ほどもある立派な竜の身体が、無防備に寝そべり、弱点である柔い腹部を曝け出す。
は四つん這いになり、一切の警戒なく向けられた腹部へ近付き、上半身を乗せる。青い夜空に向かうように高々と隆起するそれを、両手でそっと包んだ。しっとりと湿った、温い温度。けれど、手のひらを焦がす熱の塊のように錯覚しながら、両手を上下に滑らせた。
尖った先端から根本までの長さは、の腕より少し短い程度。ラースのものはあまりにも長く、またずっしりとした逞しい肉感があり、人間の娘の小さな手では物足りないだろう。それでも、先端の窪みから杭の側面、裏側の筋まで丁寧に愛しめば、手の内で硬度を増し、ビクビクと脈打った。
寝そべった太い首が震え、はふはふと息を乱している。
あの竜が。生態系の頂点に属する最強の一角にあり、また絵本の存在でもある希少な竜が、子犬のように無防備に。
は頬を染め唇に笑みを乗せると、屹立したものへ舌を伸ばし、根本から先端に掛けねっとりと這わせた。滑った粘液が舌先に絡まり、独特の生々しい臭気が鼻腔を満たす。表情が嫌悪で歪むどころか、吐息を漏らし蕩けてしまった。
次第にラースの唸り声が高まり、前肢と後肢が宙を引っ掻くように悶え始めた。鱗に覆われた引き締まった躯体が戦慄くのを見て、は後押しするように両手を激しく上下させた。
ついに、その先端から堰き止められた奔流が弾けたように、白い精が勢いよく迸った。
そのほとんどはの顔に叩き付けられ、洗ったばかりの髪をも白く染めてゆく。雨垂れのように滑り落ちる白濁する雫は、首筋から胸元にまでたっぷりと及んだ。
ラースの吐き出した精で、全て、塗り潰されてしまったよう。
けれど、不快感は一切ない。頭の中まで、ぞくぞくと痺れた。あの男達のものは気持ちが悪くて仕方なかったのだけれど、ラースならば平気なのだから不思議だ。
「んう……ッいいこ。いっぱい、出たね」
ピク、ピク、と断続的に震える硬直に、唇を寄せる。酸素を取り込むようにぱくぱくと口を開く先端を、ちゅうっと音を立て吸い、優しく擦れば、とろりと溢れた残滓がの舌に絡まった。
(まだ、溢れてくる……すごい、量……)
舌先で何度も掬い取るたび、どんどんこぼれてくる。噎せ返りそうになるほどの粘りに、熱っぽい眩暈が過ぎった。
けれど、手のひらで包んだものは、未だ衰えてはいない。
力強く立ち上がったままのそれを、陶然としたまま見つめていると、横たわったラースが不意に身を起こした。激しく上下した腹部から滑り落ち、地べたに座る格好になったの背後へ回ると、剥き出しの丸い臀部に鼻先を寄せる。二股に分かれた舌を伸ばし、べろりと這わせた。
「ひゃあ……!」
驚き、腰を持ち上げる。するとすかさず、ラースの頭がぐいっと押し込まれた。微かな温もりを帯びた竜の舌が、べろりべろりと、獣のように無遠慮に舐め啜る。の白く丸い尻から、ふっくらとした二つの谷間、じっとりと熱く潤んだ女の秘所まで全て。
「あ、あ……!」
別の生き物のように激しく蠢くラースの舌に、はたまらず声を甘くかき鳴らす。お姉さん風を吹かせあやしていたのに、今度は逆になってしまった。夜の静寂に響くの声に、ラースがますます勢いづき、余す事なく下半身をどろどろに溶かす。もはや、唾液なのか、それとも自らがこぼす蜜なのか、定かでない。それほど、の秘所はしとどに濡れ、熱く滴っていた。
「ふぁ、まって、そんな……ッあ! はあ……ッ!」
けれど、舐めるというより、喰らい付かれているような心地だった。生え揃った牙は時折、敏感に疼く花芯を掠めている。這い回る舌の動きは執拗で、強引に、乱暴に解そうとしているように思う。
どうしたのだろう、いつもはそんな風にしないはずなのに。
悩ましく身を捩り困惑するを他所に、ラースの舌はなおもを追い立てる。高まってゆく快楽に、ついには気をやる手前にまで駆け上がったが――唐突に、ラースが離れた。
もう少しで掴みそうだったものが、急速に遠ざかる。その切なさと物足りなさに、燻ぶった身体が浅ましく震え上がった。
「あ、あ……ッひ、ひどいよ、ラース……ッ」
恨みがましく振り返ると、爛々と輝く金色の双眸とぶつかる。
未だ衰えない竜の剛直が、硬く張り詰め力強く脈打つその様も、はっきりと青い夜闇の中に見えた。
二本の後ろ足で立ち上がったラースは、の背中を押し、四つん這いの恰好にさせると、その上に身を乗り出した。柔くざらついた表皮に覆われた腹部が、影と共に、ぴったりとの背中に重なった。
「ん、ふ……ッあ、ラース」
緑色の鱗に覆われた引き締まった躯体が、獣のように揺れる。後ろから押し付けられる剛直は、の太腿や臀部を悪戯に掠め、ぐいぐいと突く。しなやかな長い尾が、もどかしそうに横へぶんっと振られた。
気を逸らせ急いた仕草は、早く早くと、訴えるようだ。
の中で燻ぶる疼きが、それだけでたまらなく高ぶる。
「あ、いいよ、ラース……ッは、はやく……ここ、に……」
ぶるぶると震えるラースのものに手を添え、待ち焦がれる自らの入口へと導く。濡れそぼっているだろう場所に先端を宛がうと、耐えかねたように、ラースの方からぐんっと押し込んできた。
「あ、あァァア……ッ!!」
深い所から広がってゆくたまらない充足感に、たったそれだけで、の身体は仰け反った。
じくじくと苛まれた疼きが、瞬く間に満たされる。あの男達に無理矢理触れられた大切な場所を、ラースの存在で隙間なく埋め尽くされた幸福感が、の中に広がった。濁り溜まっていた澱が、ようやく全て取り除かれたような、そんな心地がした。
たぶんきっと、今の私はみっともない、獣の雌のような顔をしているのだろう。白い飛沫を散らした頬を真っ赤に染め、蕩け切った雌の表情をしているに違いない。
常になく上擦った鳴き声をこぼし、身体を震わせているラースが、高潔な竜ではなく本能に支配された雄そのものであるように。
隙間なくみっちりと埋められる竜の杭を、は懸命に呑み込む。指の先から肘ほどまでの長さのそれは、ずっしりと満ちた肉の重みもあり、当然の中へ全て納める事は叶わない。それでも、半ばほどまでは包んであげられる。
押し込まれる苦しさを懸命に呑み込み、呼吸を整えようと何度も息を吐き出した。
だが、ラースは身体を屈め、前肢を地面へ置くと――唐突に、猛然と腰を振り立てた。
「んあッ?!」
前触れなくもたらされた衝撃に、の目は見開く。
「あ、ま、まって……うあッ! あ、んぐ、う……!」
ずん、ずん、と打ち込まれるたび、頭の天辺まで容赦なく衝動が響く。四つん這いになった上半身は、既にもう地面に齧り付くように崩れかけていたが、背中に圧し掛かるラースは力強く振り続けている。繋がりを求め、獰猛に。
ラースは、賢い。の、人間の言葉を正しく理解するほどに。だから、こういう場面でも、を慮り待つ仕草を見せてくれるのだが……今夜に限っては、違う。やはり、気のせいではないようだ。
「ラース、あッ! や、んあ!」
肌と鱗がぶつかり、深く繋がった秘所から溢れる水音が、静寂を淫蕩に染めてゆく。
けれど、の耳に届くラースの唸り声は、未だ不機嫌そうに聞こえた。焦燥に駆られるような急いた勢いは、けして変わっていない。
――ああ、もしかして。
「ラース、怒ってる、の?」
身体の両脇に置かれた、鋭い爪の伸びる前肢へ、そっと手のひらを滑らせる。
「わたしが、あッ! あんな男たちに、さ、さわられたから」
ラースという雄しか知らない、触れていない場所を、奪われそうになったから。
「ラース」
真上に圧し掛かる緑竜の身体が、ぴったりと重なる。隙間すら無くなり、中に埋められた硬直はよりいっそう深い所を突き進み、こじ開けていった。たまらず食いしばったへ、なおも竜の欲望は激しくぶつけられる。苦しいばかりの獰猛な律動に、全身を揺さぶられながら、は微笑んでいた。
あらゆる生態系の頂点に君臨する種族の一つである、誇り高い竜。
そんな特別な存在から、ありありと滲み出る執着心や独占欲。そして――雄としての欲望。
竜には到底届かない脆弱な人間の、それも小柄な娘へ、それらを真っ向からぶつけてくるなんて。
なんと、嬉しい事だろう。
薄い緑色の鱗を撫でるの指先には、本心からの愛しみが溢れていた。
「ラース、だけだよ」
女として無防備になれるのも、深い場所にまで受け入れるのも、ラースだけだ。
今はまだ、ラースしか、知りたくはない。
不機嫌に唸っていた喉の音が、小さく薄れてゆく。苦しいばかりの律動が止まると、不意にの頬をべろりと何かが這った。二股に分かれた、赤い舌だった。は小さく微笑み、それをぺろりと舐める。
感触も大きさもかけ離れた互いの舌を求め、絡み合い、温かい唾液をこぼす。
口付けみたい――そんな他愛ない事が、熱く染められる脳裏を過ぎった。
再び、ラースの腰が動き出し、律動が始まった。今度は、突き破られそうな危うさも、抉られる苦しさもない。汗みずくになる身体がやがて快楽を見出し、呼吸で喘ぐばかりの声が甘く蕩けていった。
縋るように、鱗に覆われた硬い前肢を掴んだ時、深く密着したラースの腰が速度を上げた。埋められた太い杭は、の最奥で激しく前後し、狭い洞をどんどん押し広げてゆく。
その意図するところを、も察知した。
「あッあ! そのまま、ぜんぶ、出してえ……! いっぱい、いっぱい、私の中、あ、あア……!」
グルグルと唸る竜が、ついに咆哮を上げる。
硬く膨張しきった竜の剛直から、二度目の精が弾け、奔流のように最奥へ注がれた。
竜の腹の下で、は身体を捩らせ、激しく波立たせた。ドクドク、と欲望を注がれるたび、爪先まで痙攣が駆け巡り、ラースのものを締め付ける。
目の前が明滅するほどに強烈な、けれど全身を満たしていく甘美な余韻。蕩けるように弛緩し、陶然とした心地に浸った。
注がれる精が、納まりきらず、こぽりと音を立て溢れる。粘着いた白い欲望が、べったりと跡を残し、太腿を伝い落ちてゆくその光景を、はうっとりと見つめた。
――故郷へ無事に帰るための、駒。
出会った当初、が抱いていたのは、そんな下心ばかりだった。あの気位の高い子トカゲが、希少な竜の子どもと知ってからは、なおいっそうその思いが強まった。これを手懐け、離れがたくさせてしまえば、今後都合が良いに違いない。そう思い、世話をしていた。
しかし、腕に抱えられる小さな子竜から、を乗せられるくらいにまで大きくなった現在まで、寝食を共にし、地獄のような悪夢を慰め合ってきた。
情が、湧かないわけがなかった。
は、黄緑色の子竜にラースという名を付け可愛がった。警戒していた子竜も、にのみ心を開くようになり、子犬のように後を追いかけ懐いた。それは、成長した今も変わっていない。非常に警戒心が強く、知らない人間が近付く事を厭う気難しい竜は、あの優しい老夫婦にすら必要以上の接触を許さないほどだった。
そんな風に懐かれてしまっては、も悪い気はせず、ますます可愛がるようになった。甘えん坊でやんちゃな雄竜は、例えるならば弟のようでもあったのだ。
故郷へ帰るための手段――その考えは、気付けば欠片ほども残っていなかった。
老夫婦のもとを発ち、長い旅路を進み始めてから、二人で様々な事を共に体験してきた。道に迷い、喧嘩をし、狩りに失敗し、道中で出会った人に助けられ。目の当たりにする見知らぬ土地の広さに、たまらない寂しさを抱き涙した時も多々あった。けれど、目まぐるしく変化する世界の美しさを、自らの目で、足で知るたびに、心細さ以上のものがそこにあるのだという事を学んだのだ。
一人だけでは、とても出来る旅ではない。全て、ラースのおかげである。
だから、ラースが雄としての本能を芽生えさえ、へ迫ったあの日――は拒む事なく、ラースを受け入れた。人と竜、姿形の異なる異種族同士でありながらまぐわった。
人攫いに遭って以来、あれほど嫌悪していた生々しい行為も、ラースとだったら自然と出来た。初めて身体を重ねた相手が竜だとして、後悔はない。むしろ、商品価値を高めるためだけに残されていた処女を、ラースへ捧げられて、歓喜すら抱いた。
それ以来、とラースは、たびたびまぐわい、熱く求めた。傍から見て、それが狂気の沙汰にあるとしても、それは幸福に満ちた時間だった。
「いい子、いい子。少しだけ、休もうね」
満足したように横たわったラースは、の膝の上に頭を乗せ、無防備に瞼を細めた。先ほどまで、猛然と腰を振り立て獣欲を露わにしたというのに、もう図体のでかい子犬のようになっている。
不思議な事にラースは、初めてまぐわった相手がだったからなのか、それとも単に同種の雌が居なかったせいなのか定かでないが、にのみ発情を見せた。さらには、が他の生き物、特に雄に触れる事や触れられる事を酷く厭うようになり、常に傍らへ侍りたがるようになった。
ここまで来ると、甘えん坊というより、もはや執念だろう。
そういえば、何処かの本に、記されていた気がする。竜は自身の所有物への独占欲が非常に強く、並々ならぬ執着心を持つ、と。
――それが本当なら、なんて素敵な習性なのだろう。
鱗と角へ手のひらを滑らせ、ゆっくりと撫でるの面持ちには、深い愛しみが溢れていた。
2019.09.07